11862.jpg
トランス女性の入浴めぐるデマ、差別助長のヘイト投稿で「傷つき、外出も怖い」 当事者らが声明
2023年03月16日 17時49分
#LGBT関連法 #SNS #トランスジェンダー

LGBT関連法の検討が進む中、元首相秘書官によるLGBT差別発⾔をきっかけに、トランスジェンダー女性に対する差別が広がっているとして、LGBT法連合会は3月16日、「いたずらに人々の不安をあおる議論は容認できない」とする声明を発表した。

SNSを中心に「LGBT関連法が成立すれば、『自分は女性です』といって、男性が女湯に入ってくる」などと、トランスジェンダー女性を排除する投稿がされているが、声明は「社会に分断をもたらし、性自認による差別と憎悪を助長するもの」と強く批判している。

当事者やLGBT法連合会などはこの日、東京・霞が関で記者会見を開いた。出席したトランスジェンダー女性は「SNSしか居場所のない当事者もいる中、SNSを見るのが怖くなったという人もいる」と語った。

LGBT関連法の検討が進む中、元首相秘書官によるLGBT差別発⾔をきっかけに、トランスジェンダー女性に対する差別が広がっているとして、LGBT法連合会は3月16日、「いたずらに人々の不安をあおる議論は容認できない」とする声明を発表した。

SNSを中心に「LGBT関連法が成立すれば、『自分は女性です』といって、男性が女湯に入ってくる」などと、トランスジェンダー女性を排除する投稿がされているが、声明は「社会に分断をもたらし、性自認による差別と憎悪を助長するもの」と強く批判している。

当事者やLGBT法連合会などはこの日、東京・霞が関で記者会見を開いた。出席したトランスジェンダー女性は「SNSしか居場所のない当事者もいる中、SNSを見るのが怖くなったという人もいる」と語った。

●「反発の背景には宗教右派の影響も」

会見では、トランスジェンダー女性で、LGBT法連合会顧問の野宮亜紀さんが「世界的に進む性的マイノリティの権利擁護に対し、宗教右派やその支援を受けた政治的保守派による反発やバックラッシュが起きています」と説明した。

今年になり、国内でLGBT関連法が本格的に検討されるようになって、「『差別が禁止されると男性が女性浴場に入ってくる』といった根拠のない言説がSNSで拡散されるようになり、知識を持たないユーザーや芸能人が反応して、デマや当事者への攻撃が増加しています」として、懸念を示した。

トランスジェンダー女性で、RainbowTokyo北区代表の時枝穂さんは「男性トイレを使うのがつらく、かといって女性トイレも使えません。多目的トイレを探したり、仕事のときはトイレに行かずに我慢したりしてきました」と当事者としての経験を語った。

また、当事者はSNSでしか居場所がないケースが少なくないとして、「SNSでトランスジェンダー女性に対するヘイトが溢れ、当事者は傷つき、外出もできなくなってしまいます」と苦しい心情を打ち明けた。

●「トランス女性はゾーニングされている」

同席した立石結夏弁護士は「『LGBT関連新法が成立すると、トランスジェンダー女性が女湯に入ってくる。トランスジェンダー女性を女湯に入れなければ、法律違反になる』とおっしゃる方がいるそうですけれども、それは誤りです」と述べた。

立石弁護士によると、LGBT関連法は、現在すでにある性的マイノリティの権利を明確する意図であり、新たな権利を創設していないという。

現在、銭湯などの公衆浴場は「男女を区別し、その境界には隔壁を設け、屋外から見通すことのできない構造」(公衆浴場における衛生等管理要領)とされており、ホテルなどの大浴場でも同様に定められている。

立石弁護士は「ここで前提となっている同性異性の基準は、体の作り、すなわち男性的な身体か女性的な身体かということであり、自認する性別、すなわち心の性別ではありません。したがって、公衆浴場は身体の特徴に基づく性別ごとのゾーニングがされているといえます」と話した。

トランスジェンダー女性の場合も、こうしたゾーニングが適用されるが、「事業者が誰にどのようなサービスを提供するかは、その事業者の判断になり、協議や調整が必要となってきます」と述べ、現実的にはトランスジェンダー女性が女湯に突然入ってくることは極めて少ないとした。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る