この事例の依頼主

男性

相談前の状況

Xさんは、4年前に離婚しています。離婚にあたり、2人の子供たちの親権者は元妻であるYさんになりました。Xさんは離婚後も、2人の子供たちと頻繁に会っていました。子供たちが小さいこともあってYさんが同行することもあり、関係は良好でした。しかし、離婚から4年ほど経ったころ、Yさんには交際する男性ができたようです。子供たちの話を聞いていると、Yさんは家に子供たちだけを置いて男性と遊びに行くこともあるようでした。

解決への流れ

子供たちから「パパと一緒に暮らしたい」と頼まれ、Xさんは「親権者変更の調停」を申し立てました。Yさんは「交際していた男性とは別れた」、「問題なく子育てができている」と主張しました。しかし、Yさんの監護態勢にはいろいろと問題があり、子供たち自身も調査官に「ママのことも好きだけど、パパと暮らしたい」と言いました。最終的には、Yさんが「親権を譲る」と言ったため、Xさんは子供たちの親権者となり、子供たちと3人で暮らせるようになりました。

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高木 紀子 弁護士からのコメント

協議離婚の際は、親どうしの話し合いで、「どちらが子供の親権者になるか」を決めることができます。でも、離婚後に親権者を変更する場合は、家庭裁判所での調停や審判という手続が必要になります。親どうしの関係が良好で、「子供のために、親権者ではない方の親が一緒に住むことにしよう」と話し合える関係であれば、「親権者の変更まではせず、生活の実態だけを変える」ということもあるかもしれませんが、弁護士への依頼に至るようなケースでは、そういった話し合いができる状態ではありません。親どうしの関係が悪くて話し合いができなかったり、「子供のために何が一番よいか」について意見が一致しなかったり…。「お父さんと一緒に暮らしたい」と望む子供たちは、決着がつくまで半年ほど、不安な時間を過ごすことになりました。Xさんはもともと、子供たちとの対話を大事にし、子供たち自身に考えさせ、決めさせるという方針でしたが、子供たちを蚊帳の外には置かず、折に触れて「今どんな状況か」「お父さんはどんなことを考えているか」を伝え、子供たちの意見や気持ちも聞いて、話し合いを重ねました。「子供たちのお母さんに対する不満は聞くけれども、自分からは絶対にYさんの悪口は言わない」と決めて、ぶれることなく対応されたXさんは、とても立派だったと思います。