この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
依頼者は広告代理店を業としていた株式会社の代表取締役であったところ、ある社員が経費と偽って私物(食料品、日用品)を大量に購入していたことが発覚した。代表取締役は告知聴聞の機会を与えた上で、当該社員を懲戒解雇をした上で、横領した金員の返還請求訴訟を提訴した。当該社員は、代表取締役は利益率15%を維持できるのであれば、私物の購入を代表取締役は許可していたと主張し懲戒解雇の無効を争うとともに、未払いの残業代があるとして反訴を提起してきた。
解決への流れ
証人尋問を経て、当該者員の主張するような事実(経費の私的利用の黙認)は無かったことを立証した。また、残業代請求についても、当該社員が請求する時間外労働の事実がなかったことを個別に立証した。ただし、会社側は、タイムカードなどを使って当該社員の労働時間を管理していなかった。最終的には、当該社員が請求金額の5分の1の金員を支払うこととし、会社は時間外労働に基づく割増賃金を支払わないということで訴訟上の和解をした。
私的に費消していた経費の返還請求に対して、従業員側が未払いの労働債権(時間外労働に基づく割増賃金)があるとして反訴を提訴したケースです。このような反訴をさせないようにするためにも、使用者側は労働時間の管理を徹底する必用があります。