この事例の依頼主
20代 男性
ご依頼者様は、複数回の盗撮を行っており、過去にも別の弁護人に依頼をしていたという事件でした。職場での盗撮をしてしまい、複数の被害者がいるため、勾留されてしまったとのことで、ご家族の方からご相談を受けました。前の弁護人に依頼したいという希望もある可能性があったため、ご本人と接見した後に依頼をするかどうか決めていただくため、一度接見を行いました。ご依頼者様は、家族に迷惑をかけてしまったという負い目もあり、そもそもあまり弁護活動をすることを望まないということも考えていたようですが、被害者の方には謝りたいという希望もありました。弁護人が入らないと謝ったり示談することはできないだろうことを伝え、前の弁護人の連絡するか尋ね、なおかつ国選弁護人の選任手続もありうることを話したところ、前の弁護人や国選弁護人ではなく、私に依頼をしたいと行ってくださったためご依頼を受けることになりました。
依頼を受け、すぐに検察官に、弁護人に就任したことに加え、被害者とのコンタクトをとりたいと伝えたところ、被害者も弁護士を頼んだようですと言われました。そのため、相手方の弁護士の情報を確認し、早速示談交渉を行いました。示談交渉は若干難航しましたが、最終的に被害者の方が納得してくださり、示談をすることができました。1人目の方と示談ができましたが、2人目がいるという話だったため、ご依頼者様は再度逮捕されてしまいました。しかし、ここで、被害者も同じ職場であったということから、1人目と示談が成立していることから、勾留がなされない可能性があるのではないかと考えました。そこで検察官には勾留請求をしないよう求める意見書を記載し、裁判所には勾留決定を行わないように求める意見書を提出しました。検察官は勾留請求しましたが、裁判所が弁護人の意見を踏まえ、勾留決定を行わないという形になり、ご依頼者様は釈放されることになりました。並行して2人目の方にコンタクトをとっていました。2人目の方については、たまたますぐに示談してもらえることになりました。そのため、最終的に不起訴となりました。しかし、さらに別件が存在し、次は在宅事件となりました。当該事件では未成年の方が被害者だったため親御様との交渉となりました。一旦は話も聞かない様なそぶりでしたが、被害者の親御様が弁護士に相談したところ、示談交渉に応じてもらえるとのことになりました。被害者ご本人のご意思も確認したうえで、最終的に示談にも応じてもらえたため、事件は終了しました。
複数回盗撮を行ってしまっており、本人もこんなことはしたくないという状況でしたので、依存症も疑われるような状況でした。そのため、釈放後から病院に通院するように調整を行い、カウンセリングを行うなどして、少しずつ社会に復帰できるようになりたいとおっしゃっていました。加害者となってしまった方のケアはもちろんですが、被害者側のケアとして、加害者側の弁護士が関われるのは示談をきちんと行うということです。正直、示談は難航するケースも多いです。しかし、それでも私が最終的に示談をすることができるのは、相手の話をきちんと聞いているからだと思っています。すべての事件に通ずることだと思いますが、相対する方のお話をきちんと聞くという当たり前のことが非常に重要です。加害者であっても被害者であっても、この弁護士が信用できないとなってしまえば前に進めません。そのため、私はきちんと相対する人の話を聞き、前に進める弁護士であり続けたいと思っています。